日本の在留資格は今まではいわゆる単純労働については認められておりませんでしたが、昨今の深刻な労働力不足により、人材不足が特に深刻な12業種に限って、単純労働が解禁されることになりました。特定技能ビザには「特定技能1号」と「特定技能2号」の2つの在留資格が存在しますが、このうち「特定技能2号」は建設と造船のみとなっております。
特定技能1号の対象12業種
特定技能1号の対象となる職種は以下の12業種となります。
- 介護(訪問系サービスは対象外)
- ビルクリーニング(建築物内部の清掃)
- 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
- 建設(土木・建築・ライフライン)
- 造船、船用工業(溶接、塗装、鉄工、仕上げ、機械加工、電器機器組立て)
- 自動車整備(自動車の日常点検、定期点検整備、分解整備)
- 航空(地上走行支援、手荷物・貨物の取り扱い、機体整備)
- 宿泊(フトロント、企画・広報、接客、レストランサービス)
- 農業(栽培管理、農作物の出荷・選別、畜産物の出荷・選別)
- 漁業(漁労機械の操作、養殖の育成・管理)
- 飲食料品製造(酒類を除く飲食料品の製造・加工)
- 外食(調理、接客、店舗管理)
特定技能1号ビザの主な特徴
特定技能1号ビザは、上記の通り職種が限定されていることに加え、日本での通算滞在期間の上限が設けられている、企業の直接雇用が原則など、いくつか特徴があります。
特定技能1号での通算滞在年数
特定技能1号で日本に滞在できるのは、通算5年までとなります。これはあくまで特定技能1号のビザで滞在できる年数であるため、5年を経過する前に他の在留資格に変更した場合などは、引き続き日本に滞在することが可能です。
特定技能1号の転職について
特定技能1号は同一業種内の転職は可能です。他の業種に転職することも可能ですが、転職をする前に転職をしたい業種の試験を受け合格していることが必要となります。
同一業種内、多業種、いずれに転職をする場合も、転職をする前に在留資格変更申請を行い、その許可を得てからでしか転職ができない点には注意が必要です。特定技能1号ビザは指定書により就労場所が限定されているため、就労場所を転職先に変えるための在留資格変更が必要になります。
特定技能1号の家族の帯同について
特定技能1号で日本に在留する人が、母国にいる家族(配偶者や子ども)を日本に呼ぶことはできません。(他の就労系の在留資格「技術・人文知識・国際業務」の場合、家族滞在という在留資格で家族を日本に呼ぶことは可能です。)
日本に新たに呼ぶことはできませんが、特定技能1号になる前から家族が日本にいる場合などは例外があります。例えば、夫と妻がそれぞれ技能実習ビザで日本に滞在しており、夫が先に特定技能1号になった後に、妻が技能実習の期限を迎えたとします。この場合、本来妻は帰国しなくてはならないのですが、技能実習ビザが終わるタイミングで家族滞在ビザに変更することが可能です。
特定技能1号ビザの雇用形態について
特定技能1号ビザは雇用する企業による直接雇用が原則となります。(人材派遣会社が雇用し、その人を就労先企業に派遣するという派遣形態にはできない。)ただし、農業と漁業のみ派遣形態も認められております。